38 火沢睽

燃え上がる火の傍ら、静かに水を湛える沢。背き合い、妥協し合う。温度差と高低差。そんなんだからお湯も沸かない。

足を引っ張り合わないだけマシ。



卦辞

睽。小事に吉。

けい。しょうじにきち。

小さな事なら吉。

噛み合わないまま同じ場所にいるだけ。
協力し合えばもっと大きな事も出来るはずなのに。

思い通りには行かない。忍耐第一。


爻辞


初爻

悔い亡ぶ。馬を喪う。
逐うこと勿れ自ら復る。
悪人を見る。咎无し。

くいほろぶ。うまをうしなう。
おうことなかれ みずからかえる。
あくにんをみる。とがなし。

馬を失うが後悔はない。
追わなくても返って来るから。
悪人も同様。
どうせ捕まって裁かれるから。
咎められない。

広い心で。自然と元に戻る。

64 火水未済


二爻

主に巷に遇う。咎无し。

しゅにちまたにあう。とがなし。

君主に街でばったり会う。咎められない。

主と従者は通じ合っているが正式には出会えない。故に偶然会ったふりをする。

裏があるはず。

21 火雷噬嗑


三爻

輿の曳かるるを見る。
其の牛は掣られ、
其の人天られ且つ劓きらる。
初め无くして終わり有り。

よのひかるるをみる
そのうしはとどめられ、
そのひと かみきられかつはなきらる。
はじめなくしておわりあり。

車を引き戻され、牛も止められ、髪を切られ、鼻を切りつけられる災難。
最後は疑いが晴れ、また進む事が出来る。

すれ違い、思い違い、勘違い、とばっちり。

14 火天大有


四爻

睽きて孤なり。
元夫に遇いて交孚す。
厲うけれども咎无し。

そむきてこなり。
げんぷにあいてこもごもまことす。
あやうけれどもとがなし。

人に背いて孤立するが、立派な人と親しくなれる。
危ういが咎められない。

孤立はするが、収穫もある。

41 山沢損


五爻

悔い亡ぶ。厥の宗、膚を噬む。
往けば何の咎有らん。

くいほろぶ。そのそう、はだえをかむ。
ゆけばなんのとがあらん。

後悔が無くなる。
柔らかい肉を噛むように深く交わる。
自ら進んで行っても咎められるはずもない。

親しい人との絆。積極的に。

10 天沢履


上爻

睽きて孤なり。
豕の塗を負うを見る。
鬼を一車に載す。
先には弧を張り、後には之が弧を説く。
寇するに匪ず婚媾せんとす。
往きて雨に遇えば則ち吉。

そむきてこなり。
いのこのどろをおうをみる。
おにをいっしゃにのす。
さきにはゆみをはり、のちにはこれがゆみをとく。
あだするにあらずこんこうせんとす。
ゆきてあめにあえばすなわちきち。

人に背いて孤立する。
人が泥にまみれた豚に見え、鬼を乗せた車に見える。
弓を張って備えるが、後に誤解に気付きその弓をおろす。
敵ではなく結婚を申し込みに来たのだ。
雨が降り、誤解も疑念も流してくれる。吉。

疑心暗鬼。

疑い、疑われる。真偽を見極めて。

54 雷沢帰妹


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