火の正義、雷の勇気。口の中の異物を噛み砕く形。目の前の壁も、日常の違和感も、まとめて噛み潰す顎の形。
ジャマすんな。
卦辞
噬嗑。亨る。獄を用いるに利ろし。
ぜいごう。とおる。ごくをもちいるによろし。
世に蔓延る悪人を取り除くには、刑罰を用いる他ない。
思い通りに行かない時。まずは目の前の障害を取り除く事。苦労するが目的は果たせる。
爻辞
初爻
校を履きて趾を滅す。咎无し。
こうをはきてあしをめっす。とがなし。
足枷をつけて動けなくする。
罪も軽く反省しているので咎められない。
被害は最小限に。周囲の事を考えて。
二爻
膚を噬みて鼻を滅す。咎无し。
はだえをかみてはなをめっす。とがなし。
固い肉を噛んだら思いの外柔らかい肉で、鼻まで肉に埋まった。咎められない。
面倒事が以外に簡単に片付く。油断は出来ない。細心の注意を。
三爻
腊肉を噬みて毒に遇う。
小しく吝なれども咎无し。
せきにくをかみてどくにあう。
すこしくりんなれどもとがなし。
干し肉を噛んだら毒にあたった。恥ずかしい事だが咎められない。
苦難の時。笑われてもひたすら努力。
四爻
乾胏を噬み金矢を得。
艱貞に利ろし。吉。
かんしをかみ きんしをう。
かんていによろし。きち。
干した骨付き肉を噛んだら中から矢が出てきた。
その功績をひけらかさない。吉。
障害を取り除き、目的を達成する。
五爻
乾肉を噬みて黄金を得。
貞しけれども厲うし。咎无し。
かんにくをかみておうごんをう。
ただしけれどもあやうし。とがなし。
柔らかい干し肉を噛んだら中から黄金が出てきた。正しいが危うい。咎められる事でもないが。
取り除いた障害よりも、なぜ障害が生まれたのかが問題。
とりあえず目標は達成。反省は必要。
上爻
校を何いて耳を滅す。凶。
こうをにないてみみをめっす。きょう。
耳が隠れるほどの首枷をはめられる。凶。
捨鉢にならずに、人のアドバイスに耳を傾ける。