天の勢いを不動の山で抑え込む。
引絞られた弓、押しつぶされたバネ、繋がれた衝動。
その解き放たれた力たるや。
全てはこの一撃の為に。
卦辞
大畜。貞に利ろし。
家食せずして吉。
大川を渉るに利ろし。
たいちく。ていによろし。
かしょくせずしてきち。
たいせんをわたるによろし。
大いに止め、蓄え、養う。
実力も充分に備わり準備も整ったので、家を出てその力を人の為に使う。吉。
川を渡るような大きな事を行ってもよい。
実力を養う時。困難あるけれど進む。
爻辞
初爻
厲うき有り。已むに利ろし。
あやうきあり。やむによろし。
危うい事がある。止まった方がいい。
無理に動かない事。
二爻
輿輹を説く。
よ ふくをとく。
車の車輪を外す。
自分の意思で動きを止める。
まだ進んではいけない。
三爻
良馬逐う。艱貞に利ろし。
日に輿衛を閑う。
往く攸有るに利ろし。
りょうばおう。かんていによろし。
ひびによえいをならう。
ゆくところあるによろし。
良い馬に車をつけて進む。
あまり調子に乗ってはいけない。
馬車の操縦と身の守り方も身に着けるべき。
進むのはそれからでも遅くない。
無理に進まず足場を固めて。
四爻
童牛の牿。元吉。
どうぎゅうのこく。げんきつ。
仔牛の角は柔らかく傷付きやすいので、ぶつけて傷がつかないように当て木を付ける。
元吉。
トラブルを未然に防ぐ。大吉。
五爻
豶豕の牙。吉。
ふんしのが。きち。
強く鋭い牙を持つ猪豚を去勢して抑え込んでおく。吉。
強い意志が良い結果を呼び込む。今はまだ動かない。吉。
上爻
何天の衢。亨る。
かてんのく。とおる。
誰の邪魔も入らない大通り。
なんでも思い通り。
実力を発揮する時。順調に進む。