50 火風鼎

50 かふうてい


かえるのうた

カエル
「いらっしゃい。」

ミートボール屋のガイコツ
「おつかれ。」

カエル
「久しぶりじゃん。」

茶番をトばす。

カエル
「コーラがあるよ。」

ミートボール屋のガイコツ
「貰うわ。ありがとう。」

ミートボール屋のガイコツ
「これが今月の分?またいっぱい作ったな。」

カエル
「最近注文が多くてさ。イヤんなるぜ。」

ミートボール屋のガイコツ
「またキミはちょっと忙しくなるとすぐそう言う事を…。みんながキミのカサを差してオレのミートボールを食べに来る。最高じゃないか。ちょっと忙しいからってなんだ。」

カエル
「いや我ながらガラにもなく頑張っちゃったなと反省。」

ミートボール屋のガイコツ
「稼げるうちに稼いどけよ。」

カエル
「キミはヒマそうだな。」

ミートボール屋のガイコツ
「手際が良くなったのさ。」

カエル
「あまり無理すんなよ、トシなんだから。」

ミートボール屋のガイコツ
「わかってるよ。」

カエル
「そういえばさ。」

ミートボール屋のガイコツ
「うん。」

カエル
「変な客の話覚えてる?」

ミートボール屋のガイコツ
「誰だっけ?」

カエル
「雨合羽のさ、指輪落としてったさ。」

ミートボール屋のガイコツ
「来たのか?」

カエル
「来たよ。」

ミートボール屋のガイコツ
「で、どうだった?」

カエル
「女の人だったよ。」

ミートボール屋のガイコツ
「やっぱり。」

カエル
「指輪はお父さんの形見だったんだと。」

ミートボール屋のガイコツ
「形見ね…。」

カエル
「東の街から来たんだってさ。」

ミートボール屋のガイコツ
「ふーん。なんで?」

カエル
「里帰りだってよ。西の山の向こうに実家があるんだと。」

ミートボール屋のガイコツ
「ふーん。じゃあこの街には長く居ないんだな、残念。」

カエル
「なんで?」

ミートボール屋のガイコツ
「いや、ヒマならバイトにでもって。」

カエル
「確かに我々おっちゃんからしたら売り子は元気な女の子の方が良いしな。」

ミートボール屋のガイコツ
「自分で言うのもなんだけどホネではパフォーマンスに限界あるな。」

カエル
「それはそれで全然面白いと思うけどね。」

ミートボール屋のガイコツ
「やっぱ滲み出る悲壮感はどうしてもな。」

カエル
「自分の肉売ってると思われちゃうからな。」

ミートボール屋のガイコツ
「思われるわけねえだろ。」

カエル
「まあ、食べに来てくれるお客さんがいるうちは考えないでいいんじゃないか?」

ミートボール屋のガイコツ
「他人事だと思って。」

カエル
「行き当たりばったりの方がキミらしいよ。」

ミートボール屋のガイコツ
「まあな。」

カエル
「あと全然関係ないんだけどさ、」

ミートボール屋のガイコツ
「うん。」

カエル
「占ってるところが父上そっくりって言われちゃった。」

ミートボール屋のガイコツ
「なにが父上だよ、どこの国のお姫様だよ。」

カエル
「またこの街に来ることがあったら寄ってくれるって。」

ミートボール屋のガイコツ
「そうかそれは良かったね。」

カエル
「カサ一本買ってくれたよ。」

ミートボール屋のガイコツ
「ニヤニヤすんなよ、気持ちわりぃな。」

カエル
「えへへ。」

ミートボール屋のガイコツ
「そろそろ行くわ。」

カエル
「またね。」




火風鼎
かふうてい


風を送って火を起こす。あるいは木(巽)を組んで焚き火を作る。
その火を何に利用するのかというと、鍋の煮炊きに使う。
鼎(かなえ)とは青銅で出来た三本足の鍋の事。ただの鍋ではなくて、煮炊きのほかにも先祖を祀る祭祀や賓客の接待にも使われる事から立派なら立派な程良い。
なんだかカタっ苦しいし、時代にもオレの立場にも合わないが、どうやら三本足って事が重要みたいだ。

鼎立。鼎談。三者がお互いに向かい合った形。三竦み、三つ巴、三位一体、とか数字の「3」は色々な分野で特別な意味を持つ数字らしい。
均衡を保つ三つの要素の上で色々な物事が変化して、進展していく。理想だろうな。

三国志の天下三分の計も中華統一の過程として国を三つ作るんじゃなくて、三つに分けたところで終わりにしとけば後の世でネタにされないで済んだかもしれない。
そういう事言っちゃいけない。今の三国志も武将が全部女の子になっちゃってて楽しい。
戦争よりは夢と理想に適ってる。


卦辞

鼎。
元いに吉。亨る。

てい。
おおいにきち。とおる。

大吉。順調に進む。

三本足のナベの中で、夢と理想がゆっくりと現実に変わっていく。


爻辞

立派な鼎で料理を作る。の巻。


初爻

鼎趾を顛さまにす。
否を出すに利ろし。
妾を得て其の子を以てす。
咎无し。

ていあしをさかさまにす。
あしきをだすによろし。
しょうをえてそのこをもってす。
とがなし。

鼎をひっくり返す。
古くなった中身を捨てると良い。
妻との間に子供が出来ないのであれば、妾との間に子供を作れば咎められない。

火風鼎の形を180度回転させると古きを捨て、新しきを始める沢火革の形。妻と妾とかよりももっと良い例えあったでしょうに。


二爻

鼎実有り。
我が仇疾有り。
我に即く能わず。吉。

ていじつあり。
わがあだしつあり。
われにつくあたわず。きち。

鼎の中に具が沢山入っている。
障害や病が近づくが、鼎の中身に触れることは出来ない。吉。

この鼎は大事なものだから、指一本触れさせないぜ。


三爻

鼎耳革まる。其の行塞がる。
雉の膏食らわれず。
方に雨ふれば悔虧く。終に吉。

ていみみあらたまる。そのこうふさがる。
きじのあぶらくらわれず。
まさにあめふればくいをかく。ついにきち。

火が強すぎて鼎の取手が歪んでしまう。
このままでは運ぶことが出来ない。
脂の乗った雉の肉も食べさせられない。
雨が降り、鼎が冷めれば解決する。最後は吉。

火加減を誤る。急な変化を求めすぎて、危うく台無しになるところ。


四爻

鼎足を折る。公の餗を覆えす。
其の形渥たり。凶。

ていあしをおる。こうのそくをくつがえす。
そのけいあくたり。きょう。

鼎の足が折れて、神への供物をひっくり返す。
その失態は大きい。凶。

失敗は誰にでもある。切り替えていけ。(他人事)


五爻

鼎、黄耳金鉉。貞に利ろし。

てい、こうじきんげん。ていによろし。

鼎に黄金の耳と鉉。正しさを固く守るのが良い。

国宝級の立派な鼎。いつまでもずっと大切に扱われる。


上爻

鼎、玉鉉。
大吉にして利ろしからざる无し。

てい、ぎょくげん。
だいきちにしてよろしからざるなし。

鼎に高級な鉉。大吉にして良くないわけがない。

鼎の耳に持ち運ぶための鉉をつける。鼎の完成形。やっぱり中身は食べてもらってこそ。


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