34 雷天大壮

34 らいてんたいそう


かえるのうた

カエル
「いらっしゃい。」

便利屋のガイコツ
「おつかれ。」

カエル
「おつかれ。」

便利屋のガイコツ
「バッタ。」

カエル
「ありがと。」

茶番をトばす。

カエル
「勝ったの?」

便利屋のガイコツ
「まあね。」

カエル
「ヒマなの?」

便利屋のガイコツ
「まあね。ぼちぼちだ。」

カエル
「穏やかだねえ。」

便利屋のガイコツ
「何見てんの?」

カエル
「ん?これ?雷天大壮。」

便利屋のガイコツ
「誰か来たの?」

カエル
「うん。でコレが出た。」

便利屋のガイコツ
「見ない方がいいか。」

カエル
「まあそうだね。」

便利屋のガイコツ
「良さそうだったの?」

カエル
「うん。良かったよ。本人も安心してたよ。」

便利屋のガイコツ
「そか。」

便利屋のガイコツ
「どういう意味なの?」

カエル
「勢いが盛んな時こそ勢いに任せて自分を見失わないようにねって意味。」

便利屋のガイコツ
「ふーん。自制心の話ね。パチ屋に通ってたらイヤでも思い知るぜ。」

カエル
「自重しろって事だ。」

便利屋のガイコツ
「逆に勢いが無い時はどうすんの?無理矢理勢いつけんの?」

カエル
「それもあんまり良くない。勢いが無い時は自重して大人しくしてたほうがいい。誰かに引っ張り上げてもらうのがベストなんだろうけど。」

便利屋のガイコツ
「勢いがある時は自重して、勢いが無い時も自重して、自重ばっかりなんだな。三国無双みたいだ。」

カエル
「そんなもんだよ。みんな。」

便利屋のガイコツ
「そんなもんかね。」

カエル
「多分滞空時間の話をしてるんだよ。上昇するのに燃料使い過ぎちゃうよりはある程度の高さまで行ったらその高さをできるだけ長く維持した方が良いって事。どうせ昇ったら後は落ちるだけなわけだし。」

便利屋のガイコツ
「腹八分目って事か。何事も分相応か。」

カエル
「まあ、そうだね。」

便利屋のガイコツ
「腹一杯食っても何にも心配しないでいい暮らしをしてみたいもんだね。こんな稼ぎじゃ夢のまた夢だけど。」

カエル
「どんな生き方してても下がったら上がるようになってんだよ。ヒマだからってやさぐれんなよ。」

便利屋のガイコツ
「何か景気の良い話無いかね。」

カエル
「今んトコないねえ。」

便利屋のガイコツ
「またパチ屋行って来ようかな。」

カエル
「さっき勝って来たんじゃないの?」

便利屋のガイコツ
「また行ってくる。」

カエル
「負けるよきっと。」

便利屋のガイコツ
「最近勝ち過ぎだったからちょっとだけ負けてくる。」

カエル
「おいおいいくら儲かったんだよ。」

便利屋のガイコツ
「じゃあね。また来るわ。」

カエル
「またね。」



雷天大壮
らいてんたいそう


天の上で雷が轟くほど勢いが大きく盛んな卦。十二消長卦の一つ。

雷とか天とか自然現象のイメージも大事だけど、下から四段目までが陽爻というこの卦の形が重要。それは他の十二消長卦も同様。

弱過ぎず強すぎず、ちょうど良い感じの勢い。



卦辞

大壮。貞に利ろし。

たいそう。ていによろし。

勢い盛んな時は、その勢いに気を付けて。

六十四卦中1、2を争うくらい卦辞が短い。

だいたいやり過ぎて失敗する人が多すぎるんだよ。何にもやらないのも問題だけど。


爻辞

まず逃げようとし過ぎな羊を飼い馴らせよ。


初爻

趾に壮なり。征けば凶。孚有り。

あしにそうなり。いけばきょう。まことあり。

止まらなきゃいけないのは分かってるのに足が前に進みたがってる。
そのまま進めば凶。

坂道でブレーキの壊れた車。危ない。


二爻

貞なれば吉。

ていなればきち。

勢いを正しく制御していれば吉。

勢いよりも安定感。


三爻

小人壮を用い、君子は罔を用う。
貞なるも厲うし。
羝羊藩に触れて其の角を羸しましむ。

しょうじんそうをもちい、くんしはもうをもちう。
ていなるもあやうし。
ていようはんにふれてそのつのをくるしましむ。

小人は勢いにまかせるが、君子は勢いだけでは進まない。
正しさを持ち合わせていても勢いにまかせて進んではいけない。
垣根に角を引っ掛けて苦しむ羊のようになる。

自分が今どれ位の勢いで進んでるかを理解する事。


四爻

貞吉。悔い亡ぶ。
藩決けて羸しまず。
大輿の輹に壮なり。

ていきつ。くいほろぶ。
はんひらけてくるしまず。
たいよのふくにそうなり。

正しく進むので吉。後悔は無くなる。
垣根が開いて苦しむ事が無い。
大きな車の勢いで進める。

勢いを完全に自分のモノにしている!


五爻

羊を易に喪う。悔い无し。

ひつじをさかいにうしなう。くいなし。

勢いにまかせて囲いの外に逃げ出した羊を敢えて追わない。
後悔は無い。

明日は我が身。


上爻

羝羊藩に触れて、退く能わず。
遂む能わず。利ろしき攸无し。
艱めば則ち吉。

ていようはんにふれて、しりぞくあたわず。
すすむあたわず。よろしきところなし。
なやめばすなわちきち。

垣根に角を引っ掛けた羊。退くことも進むことも出来ない。
反省すれば吉。

進退窮まる。あの時自重してたらな。


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