決断と決壊。なみなみと注がれたグラスには既にヒビ。溢れ出るのが先か、底が抜けるのが先か。
もうムリ待てない。
卦辞
夬。王庭に揚ぐ。
孚に号う厲うき有り。
告ぐるに邑よりす。
戎に即くに利ろしからず。
往く攸有るに利ろし。
かい。おうていにあぐ。
まことにてよばうあやうきあり。
つぐるにゆうよりす。
じゅうにつくによろしからず。
ゆくところあるによろし。
朝廷に自分より高い位の者を訴える。
その悪事が真実だとしても危険である。
まずは自分の領地や同胞を良く治めて人望を得る事。
武力を用いてはいけない。
目的は果たせる。
土俵際。試される勇気と知恵と人徳。
盛運だが、猛進し過ぎて失敗するおそれ。分相応を守る。
爻辞
初爻
趾を前むるに壮んなり。
往けば勝たず咎と為す。
あしをすすむるにさかんなり。
ゆけばかたずとがとなる。
足だけが盛んに進もうとする。
そのまま進んでも勝つことは出来ず、咎められる。
冷静な行動。今は時を待つ。
足並みを揃えて。
二爻
惕れて号う。
莫夜に戎有るも恤うる勿れ。
おそれてよばう。
ぼやにつわものあるもうれうるなかれ。
恐れ、心配する。
夜襲を掛けられても対応出来る。
細心の注意が必要。
くれぐれも警戒を怠るなよ。
三爻
頄に壮んなり。凶有り。
君子夬し去るべきは夬し去る。
独り行けば雨に遇う。
濡るるが若く慍らるる有り。
咎无し。
つらぼねにさかんなり。きょうあり。
くんしけしさるべきはけしさる。
ひとりいけばあめにあう。
ぬるるがごとくいからるるあり。
とがなし。
頬骨に力が入り、本音が顔に浮き出る。凶。
君子は顔や態度には出さず、その固い決意を内に秘める。
周りにも本心を明かさないので孤立し怒りは買うが、目的は同じなので咎められない。
人から疑いを掛けられる。一人で黙々と。
ポーカーフェイス。
四爻
臀に膚无し。
其の行くこと次且たり。
羊に牽かれて悔い亡ぶ。
言を聞きて信ぜず。
いさらいにはだえなし。
そのゆくことじしょたり。
ひつじにひかれてくいほろぶ。
ことをききてしんぜず。
尻の肉が無いのでジッと座って待つ事が出来ない。
かと言って進む事もままならない。
無理せず羊の後を着いて来るよう促されても聞き入れる事が出来ない。
調査を充分に。裏方にまわる。
冷静さを欠く。誰の言うことも信じれないくらい。
五爻
莧陸夬夬。
中行咎无し。
けんりくかいかい。
ちゅうこうとがなし。
蔓延った悪を根絶やしにする決意。
中庸を行けば咎められない。
決断する時。妥協や甘えは一切要らない。
莧陸はヤマゴボウ等の根の深い植物。
上爻
号う无し。終に凶有り。
よばうなし。ついにきょうあり。
泣き叫んでも救いは無い。最後は凶。
諦めは肝心。素直に身を引く。
色々なことが間に合わなかった様子。