19 地沢臨

19 ちたくりん


かえるのうた

カエル
「いらっしゃい。」

休業中のガイコツ
「おつかれさん。」

カエル
「はい、おつかれさん。」

茶番をトばす。

休業中のガイコツ
「今日寒い。」

カエル
「体が動かないもんね。」

休業中のガイコツ
「いつもじゃん。」

カエル
「いつにも増してさ。」

休業中のガイコツ
「まああったかくしてな。変温動物なんだからさ。」

カエル
「うん。」

休業中のガイコツ
「コレ届ければいいの?」

カエル
「お願い。」

休業中のガイコツ
「わかったよ、今日中に。」

カエル
「それとさ、こないだのカッコいい兄ちゃんまた来てたよ。」

休業中のガイコツ
「ああ、オレんとこにも電話来たよ。」

休業中のガイコツ
「また仕事頼みたいって言われたよ。」

カエル
「なんだ、仕事の話だったか。」

休業中のガイコツ
「なんだと思ったんだよ。」

カエル
「なんかやらかして追われてんのかと思ったよ。相手が相手だし。」

休業中のガイコツ
「え?そんな感じだったの?」

カエル
「なんか焦ってるみたいだった。」

休業中のガイコツ
「今度は何を運ばせるつもりだったんだろう。」

カエル
「仕事は選びなよ。」

休業中のガイコツ
「選ぶもなにも車がねえもん。」

休業中のガイコツ
「まあ、その後連絡も来ないし別のヤツに頼んだんだろ。」

カエル
「ふーん。」

休業中のガイコツ
「ここって結構人来るの?」

カエル
「いや、あんまり。」

カエル
「カサはここじゃ売らないし、裏に工房というか倉庫はあるけど一応オレの家だよ。」

カエル
「ごくまれにキミみたいに占ってくれってヤツが勘違いして入って来るだけ。」

休業中のガイコツ
「そりゃ間違うよ。こんな外観の家の窓際で占いやってりゃ。」

休業中のガイコツ
「紛らわしいんだよ。」

カエル
「人の趣味にケチつけんなよ。」

休業中のガイコツ
「やっぱ占ってあげるの?」

カエル
「うん。ヒマだし。」

休業中のガイコツ
「ちゃんと看板だしたら?こんな人が間違えて入ってくるような家に住んでるんだし。」

カエル
「いいよ、メンドくせえもん。」

休業中のガイコツ
「そうか。面白そうなのになー。」

カエル
「面白そうなら教えてやるからキミやってみたら?せっかく便利屋なんだし。」

休業中のガイコツ
「実はだいぶ前からキミに話合わせようとして易占いの本買って読んでるんだ。」

カエル
「キミはいいヤツだな。」

休業中のガイコツ
「まあね。」

休業中のガイコツ
「でも読んでたら納得いかないトコがあってさ。」

カエル
「うん。」

休業中のガイコツ
「伏犠て神様的なヤツが太極図を最初に書いたわけじゃん?」

カエル
「うん。」

休業中のガイコツ
「個人的な感想だけど太極図って自然現象というか世界の仕組みみたいな事を図形にしたモンだと思うんだけどさ。」

カエル
「うん。

休業中のガイコツ
「なんでアレ見て占い始めようと思ったんだろ?」

カエル
「昔の人の考えた事なんか知らん。」

カエル
「知らんけど、伏犠って神様が太極図ってのを残して、それと真剣に向き合った人がいて、ソイツが自分や人の為に生み出したモンが今の今までずーっと存在してるって事が大事なのよ。傘や車とおんなじくらいにさ。」

休業中のガイコツ
「存在してる事に意味があるって事?」

カエル
「存在してる意味を感じたいんだよ。」

休業中のガイコツ
「キミもいいヤツだな。」

カエル
「まあね。」

休業中のガイコツ
「じゃあ、そろそろ帰るわ。」

カエル
「カサお願いね。」

休業中のガイコツ
「忘れてた。」

カエル
「またね。」



地沢臨
ちたくりん


上から下をのぞみ見るの卦。
地上から池や湖や沼などの水たまりをのぞみ見る。
もちろん水面下の事は分からないので、石を投げこんでみたり、釣り糸を垂らしてどんな魚が釣れるか試してみたり。
見えないものを見えないままにしないであれこれ模索して、想像して、感じ取る。その上で事に臨む。

パチンコ屋でだったらやってた。はず。

十二消長卦の一つ。
旧暦で十二月。新暦で一月を表す。


卦辞

臨。元いに亨る。貞に利ろし。
八月に至りて凶有らん。

りん。おおいにとおる。ていによろし。
はちがつにいたりてきょうあらん。

正しい道を歩んでいれば物事は思い通りに進む。
しかし八か月後には勢いが弱まり、凶に向かう。

八か月後とは言ったけどこれは十二消長卦として見た場合に、この「臨」の卦から数えて八番目の「観」の卦になると、陽気が衰えて陰気が発展してきて気をつけなきゃだよって意味。

本当に八か月後に怯えろってわけじゃない。占いの目的(占的)による。


爻辞

上の立場と下の立場。互いの気持ちを汲み取ろうよ、もっと。


初爻

咸じて臨む。貞にして吉。

かんじてのぞむ。ていにしてきち。

位や立場は違うが志の高い者同士で感応し合う。正しい道なので吉。

出会うべくして出会う。
人と協力して何かをする。
目上の人から気に入られる。


二爻

咸じて臨む。吉。
利ろしからざる无し。

かんじてのぞむ。きち。
よろしからざるなし。

自分の志の高さが君主と感応する。吉。
良くないわけがない。

まさかの王の器。

強運。

何事も積極的に。アピールは大事。

目上に気に入られる。


三爻

甘く臨む。利ろしき攸无し。
既に之を憂えれば咎无し。

あまくのぞむ。よろしきところなし。
すでにこれをうれえればとがなし。

口先だけの甘い考えで臨む。全然良くない。
早めに考えを改めれば、咎なし。

なんでこんなに優しくしてくれるのかを真剣に考える。
口先だけではダメ。

甘い言葉に気を付けて。


四爻

至りて臨む。咎无し。

いたりてのぞむ。とがなし。

志は高いのにまだ身分の低い者のところに自分から出向いて行く。
咎なし。

自分から積極的に。下の立場の人と仲良く。

そんなところを周りも見てる。


五爻

知りて臨む。大君の宜。吉。

しりてのぞむ。たいくんのぎ。きち。

身分は低いが優秀で頭の良い人に王自ら知恵を臨む。
王の中の王。吉。

人徳。

三顧の礼。

協力者を得る。物事は順調に運ぶ。


上爻

敦く臨む。吉。咎无し。

あつくのぞむ。きち。とがなし。

積極的に臨むのをやめて、慎重に、じっくり臨む。
吉。咎なし。

内面、精神面を整える時。

慎重な行動。

周囲と協力。独断専行はダメ。


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