20 ふうちかん
かえるのうた
カエル
「いらっしゃい」
休業中のガイコツ
「おつかれ。忙しい?」
カエル
「ヒマ。」
休業中のガイコツ
「この掃除機治せる?」
カエル
「見して。」
休業中のガイコツ
「治せる?」
カエル
「ちょっと待っててね。」
休業中のガイコツ
「隣のアパートの大家さんのなんだけどなんか吸わなくなっちゃったんだって。」
カエル
「うん。ちょっと待っててね。」
休業中のガイコツ
「昨日まではちゃんと吸ってたって。今日掃除しようとしたら急にって。」
カエル
「だからちょっと待ってろっつってんだろ。」
休業中のガイコツ
「うん。」
カエル
「ちょっと動かしてみよう。」
休業中のガイコツ
「確かに吸わないね。」
カエル
「どっかに穴が開いてるのかな?」
休業中のガイコツ
「紙パックに?」
カエル
「一応見てみよう。」
休業中のガイコツ
「うん。」
カエル
「開いてない。」
休業中のガイコツ
「あいてない。」
カエル
「ついでにフィルターも掃除しよう。汚れてる。」
休業中のガイコツ
「うん。」
カエル
「カバーもちゃんと閉まるしな。どこだろう。」
休業中のガイコツ
「パイプもホースも詰まってないみたい。」
カエル
「あ。」
休業中のガイコツ
「ん?」
カエル
「ホースに穴が開いてる。」
休業中のガイコツ
「どこ?」
カエル
「ここ。穴というかなんか裂けてる。」
休業中のガイコツ
「ホントだ。経年劣化かな?」
カエル
「そんなに昔の型じゃないでしょ?」
カエル
「尖ったトコにぶつけたのかも。」
休業中のガイコツ
「塞げる?」
カエル
「ホースはなー。グニャグニャ動くトコだしなー。」
休業中のガイコツ
「テープじゃダメ?」
カエル
「使ってる内にすぐダメになるよ。壊れる前より頑丈にしてやらなきゃ。」
カエル
「穴周りを動かないように固めなきゃ。」
休業中のガイコツ
「なにで?」
カエル
「シリコン。」
休業中のガイコツ
「シリコン。」
カエル
「シリコンで穴を塞ぐついでにその周りもべったり塗り固めて、その上からテープだ。」
休業中のガイコツ
「なんか楽しくなって来ちゃった。」
カエル
「ホースの中にシリコン入れちゃダメだよ。」
休業中のガイコツ
「塗った。」
カエル
「周りもべったり?」
休業中のガイコツ
「べったり。」
カエル
「乾かしてる間になんか飲もう。」
休業中のガイコツ
「うん。」
カエル
「オレンジジュースでいい?」
休業中のガイコツ
「ありがと。」
休業中のガイコツ
「でもなんか治せるってかっこいいよね。修理屋でもやってたのか?」
カエル
「この町に来る前にちょっとだけ。」
休業中のガイコツ
「今は雨具だけ?」
カエル
「雨具だけ。材料にも困らないし、この町なら安定して需要あるし。」
休業中のガイコツ
「そか。この町に来る前はどこに住んでたの?」
カエル
「ずっと東のほう。」
休業中のガイコツ
「ふーん。なんでこの町に?」
カエル
「何でだっけ?」
休業中のガイコツ
「おい。」
カエル
「雨が降ってたからかな?カエルだし。」
休業中のガイコツ
「は?」
カエル
「雨音がここだけ違ったんだよな。」
休業中のガイコツ
「なんだそりゃ。」
休業中のガイコツ
「まあいいよ。すっとぼけたい理由があんのね。」
カエル
「もう乾いたかな?」
休業中のガイコツ
「もういいんじゃない?」
カエル
「あとはテープ巻いて。」
休業中のガイコツ
「うん。」
カエル
「電源を入れる。」
休業中のガイコツ
「吸ってる吸ってる。治った。」
カエル
「今度また穴開いたら買い替えだからな。」
休業中のガイコツ
「そう言っとくよ。」
休業中のガイコツ
「ありがとう。またなんかあったらお願いね。」
カエル
「ヒマだったらね。」
休業中のガイコツ
「じゃあまた。」
カエル
「またね。」
風地観
ふうちかん
大木を地上から仰ぎ見るの卦。
ただ見上げるだけじゃなく、木の生態を冷静に観察、分析する。
十二消長卦の一つ。
旧暦で八月、新暦で九月を表す。
運気は下降運。大人しくして。
大艮の卦。
動かない。動けない。
卦辞
観。盥いて薦めず。
孚有りて顒若たり。
かん。てあらいてすすめず。
まことありてぎょうじゃくたり。
神前で儀式を行う時は、手や体、心も清めて執り行う。
真心が込めてあればお供え物も豪華な飾りつけなどはいらない。
そんな王の神に対する所作を観て、民も王に誠の心で従う。
もちろんそれを狙ってやってるわけじゃない。
あまり信心深い方ではないから神様とかは分からないけど、職場で下っ端押しのけて仕事してる上司ってクールだよね。
行動で示してくれ。
爻辞
物事を多角的な視野で観る。
人を見習ったり、初心に返ったり。
初爻
童観。小人は咎无し。
君子は吝。
どうかん。しょうじんはとがなし。
くんしはりん。
子供のように視野が狭くて浅い。
凡人はそれでもいいけど、人の上に立つ者がそれではダメ。恥ずかしい。
凡人でもダメだろ。
何かを見落としてるかも。
時には子供のようなシンプルな発想で。
二爻
闚い観る。女の貞に利ろし。
うかがいみる。じょのていによろし。
隙間からこっそりと覗き見る。
女はそれでよろし。
男でそれはダメ。視野がせまい。
結果だけ切り取って判断せず、本質を見抜く。
人の秘密に関わる事。
三爻
我が生を観て進退す。
わがせいをみてしんたいす。
今までの自分を振り返り、進むか退くかを決める。
自分を客観的に観るって大事。
分不相応な事はしない。
自分にとって本当に必要な事を見定めて。
四爻
国の光を観る。
用いて王の賓たるに利ろし。
くにのひかりをみる。
もちいておうのひんたるによろし。
その国で一番光り輝いている所を見る。
その国の王に優遇される。
「観光」の語源。名所や名物。長所やセールスポイント。
その人が一番見せたい所を観て、褒める。
上の立場の人から引き立てを受ける。
五爻
我が生を観る。君子は咎无し。
わがせいをみる。くんしはとがなし。
自分の今までの行いを返り観る。
志が高ければ咎なし。
自分との対話。
三爻に似ているけどこっちは君主の立場。
君主の立場なのにそれを棚に上げず、反省する。
上爻
其の生を観る。君子は咎无し。
そのせいをみる。くんしはとがなし。
最も高い立場から君主を観察する。
君主の志が高ければ、咎なし。
オレの指示通りだ。
広い視野で。えこひいき無しで。