10 天沢履

天を仰ぐ沢の水鏡、その高さを映す。強者の後を控えて辿る、いつしかその生を映す。虎の尾を踏む、虎の尾を履む。それは本当に虎の尻尾か、己の尻尾じゃなかったか。

危なっかしい。



卦辞

履。虎の尾を履む。人を咥わず。
亨る。

り。とらの おをふむ。ひとをくらわず。
とおる。

虎の尾を踏む。礼節をわきまえていれば噛みつかれない。
順調に進む。

危険の中を進む。万事控え目を心掛ける。


爻辞


初爻

素履。往きて咎无し。

そり。ゆきてとがなし。

自分は自分。そのまま行けば咎められない。

飾らずに、ありのままの自分で。

06 天水訟


二爻

道を履む。担担。幽人貞吉。

みちをふむ。たんたん。ゆうじんていきつ。

自分の信じた道を進む。誰にも頼らず、頼られず。吉。

独りで静かに時を待つ。危険は無い。

25 天雷无妄


三爻

眇能く視るとし、跛能く履むとす。
虎の尾を履めば人を咥う。凶。
武人大君たらんとす。

すがめ よくみるとし、あしなえ よくふむとす。
とらのおをふめばひとをくらう。きょう。
ぶじんたいくんたらんとす。

目が悪いのによく見える振りをし、
足が悪いのに歩ける振りをする。
虎の尾を履み、食われる。凶。
武人が大君の振りをする。

礼節をわきまえないで、虎に食べられる。

大物気取り。本当の強者には通じない。

01 乾為天


四爻

虎の尾を履む。愬愬たれば終に吉。

とらのおをふむ。さくさくたればついにきち。

虎の尾を履む。恐れ慎んでいるので終に吉。

危険信号。礼節をもって慎重に対処。

なるべく穏便に。

61 風沢中孚


五爻

履むことを夬む。
貞しけれども厲うし。

ふむことをさだむ。
ただしけれどもあやうし。

独断する。
貞しい事だとしても危うい。

身勝手な行動は避ける。敵を作る事に。

38 火沢睽


上爻

履むことを視て祥を考う。
其れ旋れば元吉。

ふむことをみてしょうをかんがう。
それめぐればげんきつ。

自分がやってきた事を振り返る。
正しかったら守り通し、間違っていたなら正す。
それを繰り返していければ、元いに吉。

自分の行いを振り返る。

強者の立場と、弱者の立場を行ったり来たり。

58 兌爲沢


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