全てを育む偉大なる大地。全てを包み込む母なる大地。地平線に乗っかって、従順な牝馬はゆっくりと連れられて歩く。
お先にどうぞ。
卦辞
坤。元いに亨る。
牝馬の貞に利ろし。
君子往く攸あり。
先んずれば迷い、
後れれば主を得る。
西南朋を得るに利ろし、
東北朋を喪うも、
貞に安んずれば吉。
こん。おおいにとおる。
ひんばのていによろし。
くんし ゆくところあり。
さきんずれば まよい、
おくれれば ぬしをえる。
せいなん ともをえるによろし、
とうほく ともをうしなうも、
ていにやすんずればきち。
従順な牝馬のように人に付き従う。
行き先があっても、急いで先に行こうとしないで、人の後ろについて行く位でちょうどいい。
西南に向かえば友が見つかる、東北に向かえば友を失うが、
従順に人当たり良くしておけば吉。
消極的で受動的な振る舞いを徹底。
楽なら楽なほど、ゆっくりならゆっくりなほど良い。
積極的に自分から行動するよりも、人に従っていた方が順調に進む。受け身にして穏便。
爻辞
初爻
霜を履みて堅氷に至る。
しもをふみて けんぴょうにいたる。
柔らかい霜も、踏み固めれば硬い氷になる。
最初が肝心。トラブルの芽は早めに摘む。
二爻
直方大。習わずして利ろしからざる无し。
ちょくほうだい。ならわずしてよろしからざるなし。
素直で、正しくて、器の大きい人は人から習わなくても重宝される。
マイペース。今の自分のままで充分過ぎる。
三爻
章を含む貞にすべし。
或いは王事に従うも、
成すこと无くして終わり有り。
しょうをふくむていにすべし。
あるいはおうじにしたがうも、
なすことなくしておわりあり。
才能や実績ををひけらかさない。
大仕事に従事して、大活躍とまでは行かないまでもそれなりの結果を出せる。
欲張って深追いもしない。
四爻
囊を括る。咎无く、誉れ无し。
のうをくくる。とがなく、ほまれなし。
袋の口を固く縛るように、自分を抑える。
咎められないけど、誉められない。
万事控えめな行動を。自分の意見は言わない代わりに、相手の意見も聞かない姿勢。
五爻
黄裳。元吉。
こうしょう。 げんきつ。
黄金の衣裳を身につける程の地位と権力を手に入れても、目下の人間を軽んじない。大吉。
人に頼られ、人を引き立てる。
上爻
龍野に戦う。其の血玄黄。
りゅうやにたたかう。そのちげんこう。
龍が野で血を流しながら戦う。穏やかさと従順さは無い。
従うべき立場で従えない。本当は大人しく身を引くところ。