22 山火賁

22 さんかひ


かえるのうた

カエル
「いらっしゃい。」

休業中のガイコツ
「おつかれ。」

カエル
「今日は早いね。」

休業中のガイコツ
「やる事ないからな。」

カエル
「いいんじゃない?ダラダラしてようぜ。」

休業中のガイコツ
「キミはいっつものんびりしてんな。」

茶番をトばす。

カエル
「あんまり頑張ってるトコ人に見せたくないのよ。」

カエル
「それに、ヒマな時にジタバタしてもしょうがないしな。」

休業中のガイコツ
「それもそうか。今日のところはダラダラしてやるか。」

カエル
「なんか飲みなよ。」

休業中のガイコツ
「牛乳もらうよ。」

カエル
「どうぞ。」

休業中のガイコツ
「なんかさ。」

カエル
「うん。」

休業中のガイコツ
「オレも作業着とか着た方がいいかな?」

カエル
「キミはホネなんだからハダカでいいだろ。別に。」

休業中のガイコツ
「でもこないだヒマな時にホームセンターに遊びに行ったらさ。」

カエル
「ゲームセンターじゃなくてホームセンターに遊びに行ったのか?」

休業中のガイコツ
「そうだよ。何も買うもんねえし。」

カエル
「冷やかしか。」

休業中のガイコツ
「それはいいんだけど最近の作業着ってカッコいいヤツあんのよ。」

カエル
「ああ、なんかわざと細くしてるワークパンツとかあるね。」

休業中のガイコツ
「色もシルエットもバリエーション豊富でさ。なんか服屋に来てるみたいで楽しかったよ。」

休業中のガイコツ
「だからあんなカッコいい作業着あるならオレも着てみたくなってさ。」

カエル
「どんなの着るの?」

休業中のガイコツ
「ツナギが良いかなって。」

カエル
「ツナギに限っては昔の形のほうがカッコいいじゃん。ウエスト絞ってなくて胸から足元までストーンとしてるヤツ。」

休業中のガイコツ
「でも高いじゃん。今やファッションアイテムになってしまってるじゃん。」

カエル
「ちょっと汚すのためらうよね。」

休業中のガイコツ
「ね。」

休業中のガイコツ
「ツナギ作ってよ。」

カエル
「さすがに服は無理。」

休業中のガイコツ
「えー。出来るって。」

カエル
「オレがカエルだもの。何も着る必要ないもの。」

休業中のガイコツ
「ああ。確かに。」

カエル
「安いヤツとりあえず着てなって。」

休業中のガイコツ
「どうせならカッコいいヤツ着たい。」

カエル
「金使えないんならしょうがないじゃん。頭使って工夫しろよ。そもそもファッションってそういうモンだろ。」

カエル
「パンクムーブメントもヒップホップカルチャーもローライダーもコギャルも元々は欲しいモンが手に入らない境遇の人が自分の手の届く範囲でカッコつけようとして生まれたモンだろ。」

カエル
「休業中で金の無い便利屋ならそういう恰好してればいいんだよ。」

休業中のガイコツ
「どんな格好だよ、休業中で金の無い便利屋の恰好って。」

カエル
「何も着ないで良いって事だよ。」

休業中のガイコツ
「生まれたままの姿で良いって事?」

カエル
「周りが作業着を着てるからこそ、何も着ないっていうカウンターカルチャーが生まれるんだろ。」

カエル
「いいか、こういう恰好をしろ、じゃない。周りと同じ格好をするな、だ。」

休業中のガイコツ
「なんで作業服着たいって話からこれからの季節におすすめのカエル式着こなしテクニックの話になるんだよ。」

休業中のガイコツ
「カエルなのによ。」

カエル
「だってみんながカッコいい作業着着たがったから、店もカッコいい作業着売るようになったわけだろ?」

休業中のガイコツ
「うん。」

カエル
「でも元々はクソダセェ作業着を超カッコよく着こなしてたヤツがいたはずなんだよ。」

休業中のガイコツ
「オレに生まれたままの姿で便利屋をするパイオニアになれと?」

カエル
「どっかのAV監督の話みたいだね。」

休業中のガイコツ
「キミが言ったんだろ。」

カエル
「まあとにかくガイコツが車乗り回して仕事してるってだけでも充分面白いからキミはそのままでいいよ。」

休業中のガイコツ
「流行るかな。」

カエル
「全裸が流行るかよ。」

カエル
「ガイコツグッズは流行るかもな。」

休業中のガイコツ
「ガイコツグッズに流行りも廃りもねえだろ。」

休業中のガイコツ
「時間ツブせたからそろそろ帰るわ。」

カエル
「またね。」



山火賁
さんかひ


山に火(太陽)が沈み、辺り一面を美しく赤く染める。
ロマンチックだけどちょっとさびしいイメージの卦。

飾る、彩るという意味。

地元が新潟なので、海に沈む夕日ばっかり見てる。
それで気付いたけど土地柄なのか概念が無いのか知らないけど、易の本読んでても海って言葉が見当たらない。川と同一視してたのか、大きな水たまり(沢)って事にしてるのか。


卦辞

賁。亨る。
小しく往く攸有るに利ろし。

ひ。とおる。
すこしくゆくところあるによろし。

飾りつけは大切だけど、飾り過ぎは良くない。
少しだけ。

本体を引き立たせるのが賁(かざり)。
お金の使い過ぎに注意。
フェイクに騙されないように。


爻辞

世の中の全ての物事は自分を引き立てる味付け。彩り。付加価値。

飾らないってそういう事。


初爻

其の趾を賁る。車を舎て徒す。

そのあしをかざる。くるまをすてかちす。

車に乗らず。自分の足で歩いて行く。

ありのままで。素のスペックを活かす。


二爻

其の須を賁る。

そのひげをかざる。

ヒゲでアゴを飾る。

まさかの自分がアゴを引き立てるヒゲの立場。

引き立て役。出しゃばらない事。


三爻

賁如。濡如。永貞にして吉。

ひじょ。じゅじょ。えいていにしてきち。

飾り過ぎ。色気出し過ぎ。本来の素質を引き立てる賁の道を永く守れば吉。

ギラギラし過ぎ。
本来の自分の魅力を掘り下げて。


四爻

賁如。皤如。白馬翰如。
するに匪ず婚媾せんとす。

ひじょ。はじょ。はくばかんじょ。
あだするにあらずこんこうせんとす。

(初爻が)全く飾らないので今すぐにでも飾りたい。
しかし白馬に乗ったド派手な三爻が邪魔をする。
自分(四爻)は素朴な初爻と結婚したいのに、派手な三爻が結婚したがって来る。

誘惑に注意。
個人的にはハデな方が好き。


五爻

丘園を賁る。束帛戔戔。
吝なれども終に吉。

きゅうえんをかざる。そくはくせんせん。
りんなれどもついにきち。

君主として丘や農園などを飾る(整える)。
すぐに利益が出るわけではないので文句を言われるが、最終的には国が豊かになって吉。

全てはこの時の為に。

倹約、節約。

散財に注意。


上爻

白く賁る。咎无し。

しろくかざる。とがなし。

何も飾らない。故に美しい。咎なし。

飾らない(オチ)
それを言われちゃうとね、何も言えないよね。

給料日の一か月前の気持ち。もう遊んでられない。

節約生活開始。これからは慎ましく生きよう。


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