48 水風井

井戸。それ以上でもそれ以下でも無く、ただそこに在り続ける井戸。人に利用されようが、誰からも忘れられようが、滾々と湧き出る根本的イド。

在るという事。



卦辞

井。
邑を改め井を改めず。
喪う无く得る无し。
往来井井たり。
汔んど至らんとするも、
また未だ井を繘せず。
其の瓶を羸る。凶。

せい。
ゆうをあらためせいをあらためず。
うしなうなくうるなし。
おうらいせいせいたり。
ほとんどいたらんとするも、
またいまだせいをきっせず。
そのつるべをやぶる。きょう。

村は井戸が涸れてしまっても他の場所に移る事が出来るが、井戸は村の為に移すことは出来ない大切な物。
人々は往来し、その井戸水を生活の糧にする。
溢れず涸れず井戸はずっとそこにあり続ける物。
ただ釣瓶を壊して水を汲めなくしてしまうのは凶。

命の源泉。己の源泉。

現状を守り、他の事に心を移さないように。


爻辞


初爻

井泥して食われず。
旧井に禽无し。

せいでいしてくわれず。
きゅうせいにきんなし。

泥で濁って飲めない井戸水。
井戸が古過ぎて鳥すらも近寄らない。

上手くいかない時。自暴自棄にならない事。

忘れられるツラみ。

05 水天需


二爻

井谷鮒に射ぐ。
甕敝れて漏れる。

せいこくふにそそぐ。
つるべやぶれてもれる。

井戸の内壁から水が漏れ出し、水底のフナに注がれる。
釣瓶も壊れて水を汲み上げられない。

自分の事で手一杯。

今の自分で出来る範囲の努力。

39 水山蹇


三爻

井渫えども食われず。
我が心惻みを為す。
用い汲むべし。
王明らかなれば
並びに其の福を受く。

せいさらえどもくわれず。
わがこころいたみをなす。
もちいくむべし。
おうあきらかなれば
ならびにそのふくをうく。

泥をさらって綺麗になった井戸水。
しかし誰も飲んでくれず悲しむ。
王が価値を認めて利用してくれれば、民もそれに倣い福を得る。

良き理解者を探す。

理解ってくれる人がきっと現れる。

29 坎爲水


四爻

井甃す。
咎无し。

せいいしだたみす。
とがなし。

井戸の内壁を修理する。咎められない。

自己管理。悪いところは正して。

外側よりも内側の充実を。

28 沢風大過


五爻

井洌くして、寒泉食わる。

せいきよくして、かんせんくらわる。

清らかで冷たい井戸水。
みんなに飲まれる。

努力が実り、人から頼りにされる。

才能の開花。少し恥ずかしいか。

46 地風升


上爻

井収みて幕う勿れ。
孚有りて元吉。

せいくみておおうなかれ。
まことありてげんきつ。

井戸水を汲んだ後に蓋をしてはいけない。
多くの人がその水を飲めるように。
元いに吉。

才能を人の為に使う。大吉。

みんなに行き渡りますように。

57 巽爲風


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