


フゥ
「おしゃっ!今度は着地成功!何回も落っこちてられないんだよっバーカ!」
フゥ
「くぅっ…。足が痛え…腹減った…眩しい…腹減った…。」
やっと明るいところに出てこれた…。しかも電気の明かりだ、きっと誰かが生活してるんだ…。
地下の住人か。その割にはなんか安っぽい蛍光灯だね。こんなもんならアタシの地元にもあったけどね。
でも良かった。少なくとも暗闇に順応しちゃうような奇特な奴らじゃないみたいだね。闇を避け、光を灯す。地表に住んでるアタシらと同じような人間が暮らしてる。
しかし何も無い部屋だ。明るくなった意味が無いくらい。
暗中模索で歩いてたほうが逆に絶望はしなかったのかも。あんな目に遭うのはもうゴメンだけど。結果的には何も無かったと、まざまざと明るみに晒されるよりは。
冷蔵庫くらい置いとけば良いのに。あと、救急箱とフカフカのベッドなんかもさ。
フゥ
「着替えとシャワーも。」

向こうにドアがあるな、何も無いクセにドアだけはあるんだな。

開くんだろうか?開かなかったら、無理にこじ開けるしかないんだけどね。
フゥ
「お、開いた。」
ま、そうだわな。穴に落っこちたり、暗闇の中を歩いたり、変な装置に吸い込まれたり。散々不条理な目に遭っても進んできてるんだ。不条理の中に身を置いたんなら、条理こそが不条理さ。
関係者以外立ち入り禁止の、境界としての条理を尽くしたドアが、アタシの前に現れる事のほうが不条理さ。
フゥ
「おじゃましまーす。」

中に誰がいるんだろう。言葉は通じるんだろうか?言葉は通じたとして、話は通じるんだろうか?今のアタシの立場は完全に不法侵入者だもの。
警察なんか呼ばれたら、また逃げなきゃダメなんだろうか?
それとも大人しく捕まって、謝ったら残飯くらいにはありつけるだろうか?
フゥ
「何が起きても、ビビる事は無いね。」

フゥ
「っ!!??」

フゥ
「おりゃあっ!先手必勝おぉおぉぉぁぁあっ!」
フゥ
「やったか!?」

やったか、と言うか、敵で良いんだよな?あの見た目。気が立ってる時に急に間合いに入ってきたから、条件反射でぶん殴っちまった。
にしてもなんだアレ?気持ちワリイ。黒い…カタマリ。
気配はあった。生き物の気配。感触もあった。生き物の感触。
ブヨブヨで、グニャグニャで、ノッペリして、あんな生き物見た事、
????
「リリリリリリリリリリリリッ!!」

フゥ
「!?」
警報?いやアイツの、鳴き声か?
誰かを呼んだのか?反撃が来る?

いや、部屋から出て行くぞ?どうする?追うか?
追ってどうする?仕留めるのか?仕留めれるのか?あんな得体の知れないヤツを?
武器も無いのに、腹も減ってるのに、戦うのか?あんな得体の知れないヤツと?


フゥ
「な、殴らなきゃ良かった…。」
邂逅。



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