
ベタ降り。
卦辞
小過。
亨る。貞に利ろし。
小事に可なるも、大事に可ならず。
飛鳥之が音を遺す。
上るに宜しからず、
下るに宜しくて大いに吉なり。
しょうか。
とおる。ていによろし。
しょうじにかなるも、だいじにかならず。
ひちょうこれがおとをのこす。
のぼるによろしからず、
くだるによろしくておおいにきち。
正しい道を守れば目的は果たせる。
些細な事なら良いが、重要な事は不可。
飛び去った鳥がその鳴き声を残す。
上に向かってはいけない。
下に向かうのなら大いに吉。
万事控えめが良い。
消えて無くなるくらい控えめが良い。
小事は叶うが、大事は叶わない。
爻辞
初爻
飛鳥以て凶。
ひちょうもってきょう。
未熟な鳥が空高く飛ぼうとする。凶。
高望みをしない。
分不相応。現状を受け入れるのも大事。
二爻
其の祖を過ぎ、其の妣に遇う。
其の君に及ばず、其の臣に遇う。
咎无し。
そのそをすぎ、そのひにあう。
そのくんにおよばず、そのしんにあう。
とがなし。
日常的で些細な事なら、主の祖父を通り過ぎて祖母に会うことは咎められない。
公的で重要な要件なら、君主の前にその臣下に会う。咎められない。
謙虚な姿勢で。目上の人の協力がある。
状況と相手に合わせる。
三爻
過ぎずして之をふせぐ。
従わば或いは之を戕わん。
凶。
すぎずしてこれをふせぐ。
したがわばあるいはこれをそこなわん。
きょう。
敵が強すぎて防戦一方。
屈してしまえば、失ってしまう。
凶。
自分の立場をしっかりと守る事。
守りきってしまえば後は楽。
四爻
咎无し。過ぎずして之に遇う。
往けば厲うし。必ず戒めよ。
永貞に用うる勿れ。
とがなし。すぎずしてこれにあう。
ゆけばあやうし。かならずいましめよ。
えいていにもちうるなかれ。
大人しくしていれば咎められない。
不利益を及ぼす人間にも用心して応対する。
強く出てはいけない。必ず警戒すること。
しかしいつまでもその態度を取り続けても危険。
面倒事に巻き込まれる。
敬語とタメ口の絶妙なブレンド。
五爻
密雲雨ふらず。我が西郊よりす。
公弋して彼の穴に在るを取る。
みつうんあめふらず。わがせいこうよりす。
こういぐるみしてかのあなにあるをとる。
厚い雲が西に見えるが未だ雨は降らない。
君主は弋を使って穴の中の獲物を捕らえる。
弋(いぐるみ)とは矢に網などを取り付けた狩猟道具。
自分一人では難しい。仲間を探す。
上爻
遇わずして之に過ぐ。
飛鳥之に離る。凶。
之を災眚と謂う。
あわずしてこれにすぐ。
ひちょうこれにかかる。きょう。
これをさいせいという。
会うべき者を通り過ぎる。
高く飛ぶ鳥が網に掛かる。
天災であり、人災でもある。
高望み、行き過ぎた事で失敗するおそれ。
とりあえず、身だしなみからだな。
山の向こうで轟く雷鳴。空に鳥たちの居場所は既に無く、鳴き声だけが余韻を残す。見上げる理由も見つからないので、ただ俯いて家路を急ぐ。
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