
遥か遠く、聞こえてくる音。
卦辞
震。
亨る。震来るに虩虩たり。
笑言唖唖たり。
震百里を驚かすも、
匕鬯喪わず。
しん。
とおる。しんきたるにげきげきたり。
しょうげんあくあくたり。
しんひゃくりをおどろかすも、
ひちょううしなわず。
順調に進む。震はとても強い勢いでやって来る。
過ぎ去った後に笑っちゃうくらいに。
震は百里まで届いて驚かすが、祭器を落とす程でもない。
すごい遠くから、バカでかい落雷の音が響く。その音にビックリして、安心して笑ってるようす。
取り越し苦労や期待外れになっちゃうかもしれない。どちらにせよペースは乱される。
爻辞
初爻
震来るに虩虩たり。
後に笑言唖唖たり。
吉。
しんきたるにげきげきたり。
のちにしょうげんあくあくたり。
きち。
雷はものすごい勢いでやって来るが、過ぎ去ってしまえば安心して笑えるようになる。吉。
驚くことがあるが、心配には及ばない。
何だったんだ一体。
二爻
震来るに厲うし。
億いに貝を喪い、
九陵に躋る。
逐うこと勿れ。
七日にして得。
しんきたるにあやうし。
おおいにばいをうしない、
きゅうりょうにのぼる。
おうことなかれ。
しちじつにしてう。
雷が間近に迫ってきて危うい。
財産を置いてその場を離れて安全な所へ。
無理に戻ってはいけない。
失った財産は七日もすれば返って来る。
危険と隣り合わせ。安全な所に。
またやり直せる。
三爻
震蘇蘇たり。
震れて行けば眚い无し。
しんそそたり。
おそれていけばわざわいなし。
雷の勢いが一旦弱まる。
油断せず慎重に進めば災いを避けれる。
負い目や隠し事が足を引く。
恐る恐るすすむ。
四爻
震きて泥に遂つ。
うごきてでいにおつ。
動いて泥に落ちる。
身動きが取れなくなるおそれ。
自慢のスピードも台無し。
五爻
震往来すること厲うし。
億いに有事を喪うこと无し。
しんおうらいすることあやうし。
おおいにゆうじをうしなうことなし。
一度遠のいた雷が再び近づいてきて危うい。しかし人の上に立つ立場なのでその場を離れる事なく役目を果たす。
一難去ってまた一難。逃げずに最善を尽くす。
責任感。不安にさせるわけにはいかないか。
上爻
震索索たり、視ること矍矍たり。
征けば凶。
震れること其の躬に于いてせず、
其の隣に于てすれば咎无し。
婚媾言有り。
しんさくさくたり、みることかくかくたり。
いけばきょう。
おそれることそのみにおいてせず、
そのとなりにおいてすればとがなし。
こんこうことあり。
離れた安全な所にいるが、雷を恐れるあまり心が弱まり、視点も定まらない。
そのまま進めば凶。
雷が自分の身に近づいて来る前に対処すれば咎められないし、親しい人からも恨まれる事も無い。
周りの事に気が回らない。言い訳はしない事。
蘇るトラウマ。抗えぬカルマ。
轟く雷鳴、百里に響く大音量。振動、震動、音の伝導。退屈を置き去りに、戒律も有耶無耶に、百人分の大絶叫。
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