43 沢天夬

43 たくてんかい


かえるのうた

カエル
「いらっしゃい。」

便利屋のガイコツ
「おつかれ。」

カエル
「おつかれ。」

便利屋のガイコツ
「まだやってんの?どうぶつの森。」

カエル
「いや、今日久しぶりに自分の島眺めてる。懐かしいなーって。」

便利屋のガイコツ
「まあキミも仕事増やしたしな。ゲームやるヒマなんて無かったか。」

茶番をトばす。

カエル
「いや、こないだまでモンスターハンターやってた。」

便利屋のガイコツ
「なんだよ。」

カエル
「やっとクリアしたんだよ。」

便利屋のガイコツ
「クリアなんてないでしょ、あのゲームに。」

カエル
「物語の結末を見届けたの。」

便利屋のガイコツ
「ストーリー見て終わり?その後のエンドコンテンツは?」

カエル
「ちょっと遊んだけどいいや、やらねえ。」

便利屋のガイコツ
「せっかく買ったのに?勿体ねえよ。」

カエル
「トシのせいかね。ついていけないトコもあんのよ。」

便利屋のガイコツ
「何が?」

カエル
「動きとか装備とかがチャラくてツラい。」

便利屋のガイコツ
「今更?」

カエル
「段々とね。自分の求めてるモンから遠くなっていくのよ。」

便利屋のガイコツ
「感性のズレか。」

カエル
「いや、遅れさ。」

便利屋のガイコツ
「でも面白かったんだろ?」

カエル
「うん。ただオレがつまんなくなったの。」

便利屋のガイコツ
「しんみりしちゃうね。」

カエル
「いい思い出になったよ。」

便利屋のガイコツ
「でも新作出たら買うんだろ?」

カエル
「うん。」

便利屋のガイコツ
「なんだよ。」

便利屋のガイコツ
「でもわかるよ。テレビとかもさ、高画質とか、4Kとか8Kとか言ってもさ、最初はキレイだなって思うけど、そもそもこっちの視力がもう悪いからさ、作った人の見せたい景色の2割も見れてないんじゃないかと思うんだ。」

便利屋のガイコツ
「パチンコとかもさ、もうほとんど知らないアニメのタイアップ機とかしか出ないしさ、店の営業時間は変わらないのにリーチ演出ばっかクソ長くなってさ、」

カエル
「すげえ喋るじゃん。それも今更な話だけどね。」

カエル
「だからイヤならヤメりゃいいのさ。無理に進化について行く必要もないさ。ついて行けなくなったからって、隣に道がもう一本出来るだけなんだから。」

便利屋のガイコツ
「どんなに年寄りが踏ん張っても、若い世代の都合の良いようにしかならんか。いつの時代も。」

カエル
「老ハンターは死なず。ただ去るのみよ。」

便利屋のガイコツ
「やかましい。」

便利屋のガイコツ
「じゃあ帰るよ。」

カエル
「またね。」


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沢天夬
たくてんかい


一陰五陽の卦にして十二消長卦の一つで、五本の陽爻が上爻の陰を飲み込もうとしてる形。決断。決壊。今にも弾け飛びそうなほど膨らんだ風船。今にもあふれそうなグラス。

同じ十二消長卦の山地剝が裏返った形で山地剝は悪人に王位を奪われる者。沢天夬は悪政を敷いた王を追い詰める者。
立ち位置は逆だがどちらも土俵際の緊迫した卦。


卦辞

夬。王庭に揚ぐ。
孚に号う厲うき有り。
告ぐるに邑よりす。
戎に即くに利ろしからず。
往く攸有るに利ろし。

かい。おうていにあぐ。
まことにてよばうあやうきあり。
つぐるにゆうよりす。
じゅうにつくによろしからず。
ゆくところあるによろし。

朝廷に自分より高い位の者を訴える。
その悪事が真実だとしても危険である。まずは自分の領地や同胞を良く治めて人望を得る事。武力を用いてはいけない。
目的は果たせる。

昔の中国では、天命を全うした王が自ら次世代に王位を譲る事を禅譲(ぜんじょう)。力ずくで王位を奪う事を放伐(ほうばつ)と言うらしい。
でも混じりっけ無しの禅譲ってあんまりなくて大体は放伐か、禅譲を大義名分にした放伐。簒奪。なにも中国だけの話じゃない。それの繰り返しが人の歴史。

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
奢れる人も久しからず。積み上げたドル箱も、偏に風の前の塵に同じ。


爻辞

基本的に喜ばしい事は書いてない。それだけのっぴきならない状況下。


初爻

趾を前むるに壮んなり。
往けば勝たず咎と為す。

あしをすすむるにさかんなり。
ゆけばかたずとがとなる。

足だけが盛んに進もうとする。
そのまま進んでも勝つことは出来ず、咎になる。

無策。実力不足。勢いだけの怖いもの知らず。


二爻

惕れて号う。
莫夜に戎有るも恤うる勿れ。

おそれてよばう。
ぼやにつわものあるもうれうるなかれ。

恐れ、心配する。
夜襲を掛けられても対応出来る。

警戒するに越した事は無く、
心配するに越したことも無く。


三爻

頄に壮んなり。凶有り。
君子夬し去るべきは夬し去る。
独り行けば雨に遇う。
濡るるが若く慍らるる有り。
咎无し。

つらぼねにさかんなり。きょうあり。
くんしけしさるべきはけしさる。
ひとりいけばあめにあう。
ぬるるがごとくいからるるあり。
とがなし。

頬骨に力が入り、本音が顔に浮き出る。凶。
君子は顔や態度には出さず、その固い決意を内に秘める。
周りにも本心を明かさないので孤立し怒りは買うが、目的は同じなので咎められない。

ポーカーフェイス。敵を騙すには味方から。


四爻

臀に膚无し。
其の行くこと次且たり。
羊に牽かれて悔い亡ぶ。
言を聞きて信ぜず。

いさらいにはだえなし。
そのゆくことじしょたり。
ひつじにひかれてくいほろぶ。
ことをききてしんぜず。

尻の肉が無い(例えばの話)のでジッと座って待つ事が出来ない。
かと言って進む事もままならない。
無理せず羊の後を着いて来るよう促されても聞き入れる事が出来ない。

進退、受け攻め、敵味方すらはっきりせず。疑心暗鬼。


五爻

莧陸夬夬。
中行咎无し。

けんりくかいかい。
ちゅうこうとがなし。

蔓延った悪を根絶やしにする決意。
中庸を行けば咎められない。

莧陸はヤマゴボウ等の根の深い植物。妥協や甘えは一切ない。


上爻

号う无し。終に凶有り。

よばうなし。ついにきょうあり。

泣き叫んでも救いは無い。最後は凶。

この爻のみ決断を下される王の立場。選択の余地無し。震えて眠れ。


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