14 火天大有

14 かてんたいゆう


かえるのうた

カエル
「いらっしゃい。」

運び屋のガイコツ
「おつかれ、バッタ食うか?」

カエル
「ありがと。今コーヒーいれるよ。」

カエル
「で、会ってきたの?」

茶番をトばす。

運び屋のガイコツ
「なにが?」

カエル
「いや、ここにキミに会いに来たヤツにさ。」

運び屋のガイコツ
「ああ、会ってきたよ。一緒に仕事もしてきたし。」

カエル
「やっぱり同業者?」

運び屋のガイコツ
「いや、便利屋だってよ。」

カエル
「ふーん、便利屋ねえ。」

運び屋のガイコツ
「その割には羽振り良さそうだった。」

カエル
「うん、確かに。」

運び屋のガイコツ
「まだ若えのにな。」

カエル
「どんな仕事してきたのよ?」

運び屋のガイコツ
「廃品回収。多分表向きは。」

カエル
「表向き?」

運び屋のガイコツ
「カタギじゃねえなぁ、ありゃ。便利屋とは名ばかりのアウトローだな。」

カエル
「でも儲かったんだろ?」

運び屋のガイコツ
「大した事ねえよ。ほとんどガソリン代に持ってかれちまったよ。」

カエル
「車が古いんだよ。」

運び屋のガイコツ
「でもヒントはもらったぜ。」

カエル
「なんの?」

運び屋のガイコツ
「便利屋。」

カエル
「やるの?そんなに便利そうに見えないけどね。」

運び屋のガイコツ
「うるせえな。」

カエル
「?運びメインでついでにって事?墓掃除みたいに?

カエル
「それとも全く方向転換すんの?大変だよ?便利にならなきゃならないんだから、道具も揃えなきゃいけないし、仲間も必要だしさ、今よりもっと人の都合にも合わせなきゃだしさ。」

運び屋のガイコツ
「それを昨日から考えてんだよ。ったくよ、ちっと黙っててくれ。」

カエル
「ふーん、話変わるんだけどさ。」

運び屋のガイコツ
「あ?」

カエル
「なんか今日口調が悪ぶってない?」

運び屋のガイコツ
「そんな事ねえよ。」

カエル
「いつもそんなんじゃないじゃん。」

運び屋のガイコツ
「いつもと変わらないさ。」

カエル
「いや、そんな陰のある感じで話したことないじゃん。」

カエル
「なにアウトローと一回仕事しただけでイキがってんの?ガラじゃないからやめときな。」

運び屋のガイコツ
「渋くない?」

カエル
「いや、渋いよ。」

カエル
「でもそういうのが似合うヤツと似合わないヤツはいるよ。」

運び屋のガイコツ
「似合わない?」

カエル
「もっとポップな雰囲気の方が君らしいよ、きっと。」

運び屋のガイコツ
「そうかい。」

カエル
「もうわけわかんねえ仕事請けちゃダメだよ。」

運び屋のガイコツ
「わかってるよ。割に合わない仕事もしねえ。」

運び屋のガイコツ
「じゃあ、また来るわ。」

カエル
「またね。」



火天大有
かてんたいゆう


大有は大いに有する、あらゆるものを豊富に所有しているいう意味。

天(乾)の上に火(離)。つまり太陽。
太陽のイメージ通り勢い盛んで、全てを明るく暖かく照らす。

五爻(君主の位)の陰以外全て陽のこの卦は優秀な家臣と先代の王に守られた女王様。
現代社会だと女社長や、華やかなアイドルとかか。

もちろんこの卦のイメージってだけなので自分が男か女かは関係ない。


卦辞

大有。元いに亨る。

たいゆう。おおいにとおる。

シンプルに大吉。パラパラ踊るレベル。
調子に乗っていい時くらい誰にだってある。
ただ、調子に乗り過ぎは良くない。
これは易とか占いとかじゃなくて一般常識の話。


爻辞

その有り余る富と権力(あくまでイメージ)を何の為に使うか、どうコントロールするかが課題。


初爻

害に交わる无し。咎に匪ず。
艱めば則ち咎无し。

がいにまじわるなし。とがにあらず。
なやめばすなわち とがなし。

害となるものには関わらない。
現状を守れば咎なし。

成功は無いが、失敗もない。進むは不利。


二爻

大車以て載す。
往く攸有り。咎无し。

たいしゃもってのす。
ゆくところあり。とがなし。

大きな車に荷物を沢山積んで進む。
咎なし。

準備万端。自信を持って進んで良し。


三爻

公用いて天子に亨す。
小人は克わず。

こう もちいて てんしにきょうす。
しょうじんはあたわず。

自分の財産や能力を君主や世の中の為に使う。
自分の損得ばかり考えるのは小人。

盛運だが、私利私欲で動いてはダメ。出し惜しみもダメ。全力で、人助け。

出来るか。


四爻

其の彭たるに匪ざれば、咎无し。

そのほうたるにあらざれば、とがなし。

盛運だが、君主(五爻)よりも出しゃばらなければ、咎なし。

調子に乗り過ぎは良くない。気持ちに余裕を持って。


五爻

厥の孚、交如、威如たれば、吉。

そのまこと、こうじょ、いじょたれば、きち。

大有の時を末永く保つ為、周囲の人間と交流を深め、優秀な人材を用いる。吉。

一人の力では出来ない事。


上爻

天より之を祐く。
吉にして利ろしからざる无し。

てんよりこれをたすく。
きちにしてよろしからざるなし。

天の助けがある。吉。
良くないわけがない。

大有の極。全てが味方。つまり無敵。この状態を自覚出来るアンテナが欲しい。

今まで経験したことが無いだけか。ちぇ。


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