09 風天小畜

09 ふうてんしょうちく


かえるのうた

カエル
「いらっしゃい。」

運び屋のガイコツ
「久しぶり。」

カエル
「久しぶり。死んだかと思ったよ。」

運び屋のガイコツ
「もう死んでんだけどね。」

カエル
「機嫌良さそうじゃん。」

茶番をトばす。

運び屋のガイコツ
「顔に出ちゃうか、やっぱり。」

カエル
「表情無いけどね。」

ガイコツ
「これを見てくれ。」

カエル
「あら、運転免許取ったんだ。」

運び屋のガイコツ
「車も買ったよ、ボロだけど。」

カエル
「前に勉強してるって言ってたヤツだね?」

運び屋のガイコツ
「いや、それとは違う。」

カエル
「なんなんだよ。」

運び屋のガイコツ
「それはまた別件なの。」

カエル
「ふーん。」

運び屋のガイコツ
「あとさ、オレも商売始めたよ。」

カエル
「どんなの?」

運び屋のガイコツ
「トランスポーターよ。」

カエル
「運び屋か、かっこいいじゃん。」

運び屋のガイコツ
「まだ街中だけだけどね。」

運び屋のガイコツ
「そのうち郊外の方にも足伸ばすつもり。」

カエル
「なんでも運ぶの?」

運び屋のガイコツ
「車に積めるモンなら何でも運ぶよ。」

カエル
「頼んでいい?」

運び屋のガイコツ
「何を?」

カエル
「このカサ15本を3か所の取引先に5本づつ置いてきてほしいの。」

カエル
「納品書に住所は書いてあるから、急がなくていいからさ。」

運び屋のガイコツ
「お安い御用だよ。」

カエル
「おいくら?」

運び屋のガイコツ
「いらねえ。おごってやる。」

カエル
「何でそんな事いうの?仕事だろ?もらってよ。」

運び屋のガイコツ
「いいんだ。ただで占ってもらったお礼だよ。」

カエル
「タダなのは当たり前じゃん。趣味だもの。」

運び屋のガイコツ
「でも色々ヒントをもらったからさ、とにかく金はいいよ。儲かってないんだろ?」

カエル
「まあ。じゃあ、ありがとう。」

運び屋のガイコツ
「いいって。また占ってよ。」

カエル
「なにを?」

運び屋のガイコツ
「この仕事でホントに良かったか。」

カエル
「不安なの?」

運び屋のガイコツ
「いや、むしろ上手く行ってる。」

カエル
「ならいいじゃん。」

運び屋のガイコツ
「でもさ、オレってばすぐ仕事ダメになるじゃん。」

カエル
「自分が悪いのもあるじゃん。」

運び屋のガイコツ
「そうなんだけどさ。」

運び屋のガイコツ
「免許取って車も買ったからさ、できれば続けたいんだよね。」

カエル
「何が起きても辞めたくない?」

運び屋のガイコツ
「当分はね。」

カエル
「そうか。」

カエル
「はい。出たよ。風天小畜。四爻。」

運び屋のガイコツ
「どんなの?」

カエル
「小畜。亨る。密雲雨ふらず。我が西郊よりす。」

カエル
「四爻は、孚有り。血去り惕れ出ず。咎无し。」

カエル
「之卦は乾だ。小畜は乾に往く。」

運び屋のガイコツ
「良さそう?」

カエル
「密雲雨降らず。現状維持かな。あんまり派手な事はしない方がいいよ。」

運び屋のガイコツ
「やっぱそうかー。」

カエル
「最初はそんなモンじゃない?」

運び屋のガイコツ
「まあね。」

カエル
「でも段々良くなってくるよ。」

運び屋のガイコツ
「ほんと?」

カエル
「之卦が乾だから、忙しくなると思うよ。」

運び屋のガイコツ
「これは安心した。」

カエル
「オレも。」

運び屋のガイコツ
「安心したところでカサ届けに行ってくるよ。」

カエル
「うん、よろしく頼むね。代金はもうもらってるから置いてくるだけでいいからね。」

運び屋のガイコツ
「任された。」

運び屋のガイコツ
「じゃあ行ってくるよ、またね。」

カエル
「ありがとう。」

カエル
「またね。」



風天小畜
ふうてんしょうちく


内卦の天を外卦のそよ風が止めようとしてる卦。
天は父親、風は長女を表しているので強い父をか弱い長女が止めようとしている卦。だからちょっとしか止まらない。

少しとどまる、少し蓄える、少し養う。なんでもちょっとずつ。

だから解放されてもたかが知れてる。

五本の陽爻と一本の陰爻からなる「一陰五陽」の卦。奪い合い、奪われ合う。


卦辞

小畜。亨る。
密雲雨ふらず。我が西郊よりす。

しょうちく。とおる。
みつうんあめふらず。わがせいこうよりす。

雨雲が沸き起こってきたが、まだ雨は降らない。
でも自分(文王の事。六十四卦に卦辞をつけた人)
が住んでいる西の方角から天気が崩れてもうすぐ雨が降るみたいだ。

色々な事がなんだかちょっとずつ上手く行かない時。
一旦落ち着いて、時期が来たら動く。


爻辞

少し止めて蓄える。
何を止めるか、何に止められてるか。
何を蓄えるか、何のために蓄えるか。


初爻

復る道よりす。
何ぞ其れ咎あらん。吉。

かえるみちよりす。
なんぞそれとがあらん。きち。

自分の正しい道に戻る。咎められない。吉。

進もうとした道に違和感を覚えて戻る。
ちょっと様子見。


二爻

牽かれて復る。吉。

ひかれてかえる。きち。

連れられて帰る。吉。

誤った道を進もうとしたら正しい人に正しい道に連れ戻してもらえる。


三爻

輿、輹を説く。夫妻反目す。

よ、ふくをとく。ふさいはんもくす。

車軸の外れた車。
車を夫、車軸を妻に例えると、
まるで夫婦喧嘩みたいだね。

進みたくて、進みたくても動けない。
目の前のトラブルを解決。


四爻

孚有り。血去り惕れ出ず。咎无し。

まことあり。ち さりおそれいず。とがなし。

弱いものが強いものを止めようとしていて危ないが、
弱いものの誠意が通じたので、咎なし。

話せばわかる。
危ういけど、結局は吉。


五爻

孚有り攣如。富其の隣を以てす。

まことありれんじょ。とみ そのとなりをもってす。

誠の心をもってみんなで協力。
富もみんなで分け合う

協力者に恵まれる。吉。
報酬は、山分けよ。


上爻

即に雨ふり即に処まる。
徳を尚びて載す。
婦貞しけれど厲うし。
月望に幾し、君子征けば凶。

すでにあめふりすでにとどまる。
とくをたっとびてのす。
ふ ただしけれどあやうし。
つき ぼうにちかし。くんしゆけばきょう。

すでに雨が降り、すでに雨が止む。
止めて蓄えていた力を解き放つ時。
女性はその力を振りかざしてもいい事無し。
満月のように強い力のまま往けば凶。

満月に近いのはいい。
でも満月はダメ、強すぎるから。
充分な結果は出せるのでその先は追わない。

月望に幾し。(つき ぼうにちかし)←かっこいい。


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